黒字貧乏 2007 12 8

 なぜ、黒字なのに貧乏なのか。
もちろん、家計の場合は、黒字ならば、当然、裕福でしょう。
 しかし、事業として考えるならば、
黒字貧乏は、ありうる話です。
 たとえば、あなたは雑貨店を経営しているとします。
そして、あなたがデザインしたショッピングバッグが、
好評で、あなたの店では人気商品となりました。
 あなたは、貧乏になったでしょうか、裕福になったでしょうか。
答えは、疑いもなく、「裕福になった」が正解でしょう。
 それでは、次の思考実験。
今は、インターネットで世界中が結ばれている時代です。
意外にも、あなたがデザインしたショッピングバッグが、
アメリカで人気となり、アメリカでも人気商品となりました。
 さて、あなたは、貧乏になったでしょうか、裕福になったでしょうか。
答えは、裕福になる場合もあるが、そうでない場合もあるでしょう。
もちろん、貧乏になることはないでしょうが、
もしかすると、資金繰りに苦しむかもしれません。
 なぜか。
基軸通貨(貿易決済通貨)がドルであるので、
あなたは、売上代金をドルで受け取ることになるでしょう。
 この時点では、あなたは裕福になっていないはずです。
いくらドルを持っていても、あなたは日本人ですから、
円という通貨がないと裕福にはなれないでしょう。
 それに、ドルの売上代金が入金するまで待つことなく、
ショッピングバッグ製造の材料費は、国内の業者に支払う必要があります。
 つまり、あなたは、一時的に、ドル資産は増えるけれど、
円資産は減少するという状態になるでしょう。
要するに、円資産で考えれば、あなたは「金欠」でしょう。
 アメリカでショッピングバッグが売れれば売れるほど、
ショッピングバッグの材料費は増え、国内の業者に支払う金額は増えていくでしょう。
いくらドルという通貨は増えても、国内の業者に、
材料代として、ドルで支払うわけにはいかないでしょう。
こうして、あなたが持っている円という「通貨量」は減少していくでしょう。
 それでは、大至急、ドルを円に換えればいいのではないか。
しかし、そこで不安が頭の中に思い浮かぶでしょう。
他の事業者も、みんなが、ドルを円に換えようとすると、どうなるか。
ドルを売って円を買うことになりますので、「円高」となります。
輸出で儲けている事業者は、円高を嫌うでしょう。
輸出業者にとって、円高になれば、取り分が減少するからです。
 しかし、背に腹は代えられないでしょう。
ショッピングバッグ製造の材料費は、期日までに、国内の業者に支払う必要があります。
 そこで、あなたは、銀行で、ドルを円に換えることになるでしょう。
他の事業者(輸出業者)も、似たような事情でしょうから、
みんな、いっせいに、銀行で、ドルを円に換えることになるでしょう。
 すると、今度は、銀行が、円資産で見れば、金欠になるでしょう。
銀行にはドルが増えて、円が減少しますから。
銀行が持っている円という「通貨量」は減少したでしょう。
 では、銀行も、だぶついた手持ちのドルを売って、円を買うか。
それをやると、円高になりますので、「やめてくれ」と圧力がかかるかもしれません。
そうすると、銀行は、依然として、貧血、いや金欠のままでしょう。
(ドルは、たくさん持っているのに)
見方を変えれば、円という通貨の流通量は減少したままと言えるかもしれません。
そこで、日本銀行が、金融市場に大量にマネーを供給する。
 もちろん、銀行に体力があれば、何の問題もないかもしれませんが、
たとえば、銀行が不良債権処理に追われていて、体力が低下していると、
意外に負担かもしれません。
 さて、輸出主導型経済は、発展途上国の経済です。
いつまで日本は、発展途上国を続けるのか。
そろそろ、日本は、内需主導型経済に転換すべきでしょう。
















































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